短歌サミットブログ

☆短歌サミット2009は158名様のご来場により、大盛況のうちに無事閉幕しました☆
皆様のご来場、ご協力に実行委員一同感謝の気持ちでいっぱいです!!
本当にありがとうございました。
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リレーエッセイ・特別な一首(辻井竜一)
   「ドライブ・マイ・カー」

辻井竜一


「申し訳ありません。本日は店長がお休みでして。私アルバイトなもので、私の判断ではそういったことはできないのです。大変申し訳ありません。申し訳ありません。」

「おい小僧、お前、俺が誰だかわかって言ってるのか?たいした度胸だな。お前の雇用形態なんて知ったことじゃない。さっさとしろよ。こっちは忙しいんだ。貴様みたいな高校中退のフリーターと違ってな。」

 俺はドライブインの中のレストランの店員に向かって銃を突きつけた。

「早くしたほうがいいぜ。俺だって揉め事なんか好きじゃない。ちょっとお前が勇気を出せば話は済むんだ。ばれるわけないんだからやっちまえよ。若いのに何考えていやがるんだ。さあ!わかったら早くしろ!」

 俺の名はベック。職業は殺し屋だ。高校を一年で中退してから、今までいろんな職業を渡り歩いてきたが、どれとして俺になじむ仕事はなかった。それに引き換え、今の仕事は最高だ。俺は殺し屋になるために生まれてきたんじゃないのか?思い立ったのは昨日の夜のことだがその思いつきは正しかった。今俺は死ぬほどいい気分だ。死ぬほど。こんな言い回しをよく俺はする。死。やはりそれこそが俺の商売道具だ。いや、商売道具という言い方はちょっとおかしいな。でもまあいいだろう。なんとなくニュアンスが伝わればいい。高校中退じゃあうまい言い方が思いつかなくても無理はない。

「お客様、どうか勘弁してください。店長に怒られますので。」

 銃を突きつけられているというのにこの若造もなかなかたいしたやつだ。尊敬に値する。少なくとも俺なんかよりよっぽど立派な人間だ。よく見ればなかなかいい顔をしている。きっとこいつは将来大物になるだろう。はっきり言ってこんなやつが俺は好きだ。自分に与えられた仕事はきちんとこなす。なかなかできることじゃない。しかも殺し屋に銃を突きつけられているというのに。俺にはできない。俺にできないことをやるやつはみんな尊敬に値する。

「そうか、仕方がない。どうやら間違っていたのは俺のほうかもしれないな。負けたぜ、お前には。わかった。注文は取り消してくれていい。最後に一言だけ言わせてくれ。いいか、愛し続けていなければ、いつでも、一瞬で花は散ってしまうんだぜ。それが美しければ美しいほど、散ってしまうまでの時間は短いぜ。お前には俺と同じ失敗をして欲しくないんだ。それじゃあ、せいぜいうまくやれよ!先は長いぜ!」

 そういって俺はそのレストランを出た。なんだかやけにいい気分だ。やはり殺し屋になってよかった。これを普通のサラリーマンがやったところで何も特別なことじゃない。殺し屋の俺がやるから意味がある。将来有望な若者に励ましの言葉をかける。殺し屋なのに。世の中に一人くらい、俺みたいな殺し屋がいたっていいじゃないか。

 それにしても俺もなかなか殺し屋として板についてきたものだ。たかがメニューにないものを注文して、それは出せないといわれただけで人を殺そうとするなんて。だけど俺は何も間違っちゃいない。カレーライス、コロッケカレー、カツカレーとカレーには3種類のメニューがあるのに、スパゲッティはミートソースしかなかった。だから俺はコロッケスパゲッティというのはできないのかといったのだ。できるはずだ。簡単にできるはずだ。ただ、スパゲッティの上にコロッケカレー用のコロッケを乗せればいいだけだ。そんなもの俺にだって作れる。まあ、たしかにそんな食べ物は今まで見たことはないが。言ってみれば俺のオリジナルだ。俺は誰の真似もしない。オリジナルな殺し屋だ。今までの殺し屋のイメージを一新する、かつてない殺し屋だ。とにかく俺は間違ってはいない。俺は車に戻り、愛車のセドリックを次のドライブインに向って走らせた。

 音楽を聴きながら次のドライブインを目指すことにした俺はカー・ステレオにCDをセットした。ビートルズの「ラバーソウル」。俺はビートルズなんか大嫌いだが、このアルバムはリチャード・ブローティガンの小説のラストに出てくるのを読んでから聴くようになった。小説の中に出てくる音楽が俺は好きだ。聴こえないから、聴かなくてもすむから好きだ。1曲目は「ドライブ・マイ・カー」。本来モノラル録音のものがオリジナルだというのに、俺の持っているこのCDはステレオにされてしまっている。ドラムの音とギターの音がちょうど分かれて左右から聞こえてきてとても不自然だ。ふざけたことをしやがって。やはり古い録音のCDはモノラルで聴きたいものだ。オリジナルの音にこだわるなら当然アナログ盤を聴くのが一番だが、あいにく俺のセドリックにはレコード・プレーヤーはついていない。それにビートルズのアナログ盤はあまりにも種類が多すぎて(UKオリジナル、アメリカ盤、日本盤、リマスター、再プレスなど、本当にとてつもない数だ)、どれを買っていいのかわからない。もちろんUKオリジナルがいいに決まっているが、値が張る。中古レコード屋での相場は平均1万円を超えている。今の俺にはとても手が出ない。まあいい、ビートルズは嫌いだから別にどうでもいい。むしろこの方がいい。俺がビートルズ好きになったりする可能性がなくなるから。「ああ、あのビートルズ好きのやつか。」なんて仲間内で言われるようになるくらいなら死を選ぶ。さすが殺し屋だ。俺の名はベック。職業は殺し屋だ。

 俺がドライブインの出口まで車を走らせた時、サイレンを鳴らしたパトカーが駐車場に入ってきた。サイレンを鳴らしたパトカーを見て動揺した俺は急ブレーキをかけた。バックミラーから、パトカーが見える。ちょうど俺の車がさっきまであった場所に止まっている。中にいる警官が何かマイクで話しているようだ。俺はカー・ステレオのボリュームを最小にした。

なんてことだ。せっかくいい気分でドライブするつもりでいたというのに、どうやら五百メートルほど先のほうで接触事故が発生したらしい。かなりの大事故らしく、まだ消火活動中で危険なのでこのドライブインで待機するようにとのことだ。

これで次のドライブインに着くのはいつのことになるやらわからなくなった。高速道路での一番の楽しみはドライブインだというのに。まあ仕方がない。時間はかかるかもしれないが、きっとそのうち俺はまた車を走らせることができるようになる。何も一生ここで待機していなければいけないわけじゃない。むしろ俺なんかよりも、事故にあった人たちのほうがよっぽど辛いはずだ。炎上してしまうほどの事故では、車に乗っていた人たちもきっと無事ではないだろう。もしかしたら愛する人に一刻でも早く会いに行きたいがために、スピードを出しすぎてしまったのかもしれない。運転中に鳴った携帯電話に出ようとして前方不注意になり、ハンドル操作を誤ったのかもしれない。愛する人からの電話だと思ったのだ。愛する人を待たせたくなかったのだろう。誰だって電話をかけてから相手が出るまでのコール音を耳元で聞いている時間は、アンカーを降ろすのも忘れるくらい疲れきり、やむをえずとった仮眠の後、計器の故障で今自分の船がどこの海に浮かんでいるのかわからなくなった船乗りと同じくらい、もしくはそれ以上に孤独で絶望的な気分になるものだ。そんな気分を、愛する人には味わわせたくなかったのだ。「運転中の携帯電話の使用はやめましょう」という標語(たぶんそんなのがあるだろう)を作った人にわざわいあれ。愛する人を待たせるくらいなら俺は死んだほうがましだ。きっと事故にあった人もそうだったのだろう。愛こそがすべてだと知っていた人だ。その人の愛する人はまだ事故のことを知らないに決まっている。悲しいことだ。それ以外何も言えない。まったく悲しいことだ。

ドライブインの出口でハンドルに突っ伏しながら俺は自分の思考にほんの少しの疑問を抱いたが、またすぐに自分を納得させ、疑問を追い払うことに成功した。俺はこう思ったのだ。殺し屋である俺が顔も知らない他人の死(それも死んだかどうかも定かではないというのに)にこんなにも感傷的になっていいものだろうか。殺し屋というものはもっと冷酷な感情を持ち合わせていなければならないのではないか。バラクーダ師匠ことロビン・マスクに出会う前のウォーズ・マンのような、氷の精神でいるべきではないかと。いや、いいんだ。他の殺し屋はどうだか知らないが、俺はいいんだ。そうだ、俺はオリジナルな殺し屋だ。こんなにも感傷的な殺し屋がいたって何も問題はない。少なくとも俺にとっては。なぜならそれは俺のことだからだ。オリジナル、ワン・アンド・オンリーでいるというのはなかなかヘビーなことであると思うかもしれないが、実際はそんなことはない。むしろ大変楽なものだ。何がOKで、何がそうでないかはすべて自分の判断に任せることができる。ワン・アンド・オンリー。それは「妥協」という言葉を肯定することのできる精神を持った者を表す言葉だ。氷の精神を持った者にあたえられる称号では決してない。今決まった。決めたのは俺だ。

さすがにオリジナルな殺し屋である俺でも、消火活動中の事故現場に向かって車を走らせるようなことはしない。それは危険だ。俺の身に何かあったら俺が困る。というか、はっきりいって、怖い。それが一番大きな理由だ。オリジナルな殺し屋たるもの、人と同じ行動はできることなら避けたいものだが今回だけは自分を許してやろうと思い、俺は他のやつらと同じように車を駐車場まで戻した。怖いのだからしかたがない。

エンジンを切ろうとした時、まだカーステレオの電源が入っていることに気づいた。さっきパトカーが来た時にボリュームを最小にしてそのままにしてあったのだ。なんとなく俺はボリュームを上げてみた。

「ラバーソウル」は七曲目まで進んでいた。「ミッシェル」のイントロが始まったところだった。この曲は前半のメロディーをジョンが書き、後半はポールが書いたというまさに二人の共作だ。俺はこの一曲を聴き終わってからエンジンを切ろうと思った。

俺は今自分の愛車セドリックの中。ビートルズの「ラバーソウル」を聴いている。七曲目の「ミッシェル」を。ジョンのギターとジョージのギターが絡み合ってさびしげなメロディーを奏でている。とその時、俺の愛車の窓を叩く音が聴こえた。聴こえた。たしかに。窓を叩く音が。ジョンのギターとジョージのギターの音といっしょになって。
音のしたほうを見ると、さっきのパトカーの警官の顔が見えた。俺は窓を開け、拳銃をそいつに向かって突きつけると、すぐさま、有無を言わせずに引き金を引いた。乾いた銃声とともに警官は後ろ向きに倒れた。警官が倒れる音は聞こえなかった。その音よりはビートルズの演奏の音のほうが大きかったわけだ。警官の倒れる姿はあまり「ミッシェル」のメロディーにあっているとは思えなかった。

軽く舌打ちをしてから俺はカーステレオの停止ボタンを押した。またやり直しだ。せっかくもうすぐ「アイ・ラブ・ユー」と繰り返しジョンが歌うパートまできていたのに。ポールだったかもしれないがそれはどうでもいい。誰が歌っているかなんてどうでもいい。考えてみれば俺は「ラバーソウル」をかけたときからずっとその部分を待っていたのだ。「アイ・ラブ・ユー、アイ・ラブ・ユー、アイ・ラブ・ユー」の部分を。それを邪魔してしまったのだから、この警官は銃で撃たれても仕方がないだろう。あえて詳しい説明はしないが、こいつはとてつもない罪を犯したのだ。殺されてしかるべきだ。
こいつを殺したところで(額の真ん中を打ち抜いたのだ。死んだことは確実だろう)俺の怒りはもちろん収まらなかったが、いまさらどうしようもないことだ。怒りをぶつけるべき相手は一人しかなく、その一人はもう死んでしまった。この世にはいない。どこにもいない。俺の怒りをぶつけるべき相手は、もうどこにもいなくなってしまった。

「ジョン、ジョージ、ポール、リンゴ。」とつぶやいてから俺は静かにアクセルを踏んだ。そして愛車のセドリックをドライブインの出口に向かって移動させた。
 やがて俺はアクセルを思い切り踏み込み、炎上しているはずの事故現場を目指すことにした。右手でハンドルを押さえながら、左手でカーステレオの再生ボタンを押した。セットしてあるCDはさっきと同じ。ビートルズの「ラバーソウル」。一曲目は「ドライブ・マイ・カー」。俺の名はベック。職業は殺し屋だ。

(了)

しまった。書くものを間違えた。

「短歌サミット2009」

●日時:2009年6月20日(土)
●開館時間:PM1:00〜PM5:00
●場所:「川口市立アートギャラリー・アトリア」

公式HP:http://www.kokoiru.com/tanka/

↑みなさまの短歌を募集中です!(5月30日〆)↑
↑くわしくはHPまで!↑
| 辻井竜一 | ,リレーエッセイ・特別な一首 | 09:28 | comments(3) | trackbacks(0) | -
リレーエッセイ・特別な一首(田中ましろ)

ご挨拶・「だからパーティーひらくことにしたの」 by辻井竜一


ゆずちゃんより指名いただきました、田中ましろです。
短歌サミット・短歌募集のページなど作っていたこともあり
更新が遅れてしまいました。すみませんっ。
はい、さりげなく宣伝しました。かさねて、すみませんっ(笑


++++

大学2年の春、ひとつの遠距離恋愛が終わりを告げた。
「ごめん、彼氏、できた。」
5秒前まで彼女だった人の、最後の言葉。
高校3年間のすべてを捧げた人の、最後の言葉。
早稲田大学外山キャンパス横の公園は深緑の季節に向かい、
苦しむ間もなく殺された僕にはただ、
無性に自分を傷つけたくて安全ピンでねじ開けた
不器用なピアスホールだけが残った。


**

16歳から詩を書いている。
銀色夏生さんの写真詩集に惹かれ、写真も始めた。
病気で入院している女の子から「ありがとう」とメールをもらったりもした。
自分の書いたものが誰かに届き、その人の心で生きている。
それを実感するたびに芽生えてきたのは、
何かを作り、誰かに届ける仕事がしたい、という思い。

だから僕は、コピーライターになった。
大学院まで進み学んだ宇宙物理学研究者という道を捨てて。


**

28歳冬、あいかわらず僕は詩を書いていた。
自分の作ったCMがテレビで流れているという非日常にも慣れ、
あの日の最後の言葉さえ、遠い過去の話になった。
夢が輝きを失って、惰性で生きてもいいかと思い始めたころ、
偶然立ち読みをした漫画の、偶然開いたページにあった言葉に僕は心を奪われた。

こんなにもふざけたきょうがある以上どんなあすでもありうるだろう
(枡野浩一)

12年前の、消えそうになっていた情景が脳裏に戻ってくる。
あの日の僕が叫びたかったすべてがぴったりのサイズで其処にはあった。

なんだこれは。「短歌」というのか。季語とかなくてもいいのか。
まだよくわからないけれど、なんだか面白そうじゃないか。
僕は一気にその本(ショートソング・漫画版)を読みきった。無論、立ち読みで。

その夜。
ひさしぶりにピアスホールに触れてみた。
あいかわらず不器用なそいつは、僕が何かを始めるのを待っていたかのように
放置されてもなおなんとか反対側とつながっていた。

もしかするとここに新しい自分があるのかもしれない。
そう思い立って4ヶ月。
いまはまだ手探りだけど、いつか誰かが目を丸くするような短歌を書ける日まで、
いや、仮にそれが書けたとしてもきっとずっと僕は、

短歌を書き続けていく。

いまはそんな予感がしている。

++++

次回は最終回。理事長・辻井竜一の登場です!お楽しみにっ!




「短歌サミット2009」

●日時:2009年6月20日(土)
●開館時間:PM1:00〜PM5:00
●場所:「川口市立アートギャラリー・アトリア」

公式HP:http://www.kokoiru.com/tanka/

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| 田中ましろ | ,リレーエッセイ・特別な一首 | 01:30 | comments(1) | trackbacks(0) | -
リレーエッセイ・特別な一首(ゆず)
ご挨拶・「だからパーティーひらくことにしたの」 by辻井竜一

大変遅くなりました。
さかいたつろうさんからご指名いただきました、ゆずです。


今年の3月に高校を卒業した。
中学からエスカレーター式で、実質6年間通った学校はとても楽しかったけれど、歴史のある女子中高だということもあってか、校則は厳しかった。
携帯電話の持ち込み禁止、下校時の寄り道禁止、肩についた髪は結ぶ、スカートはひざ頭を覆う長さ――。
今でもまだ、大学の講義中に誰かの携帯電話がふるえる音がすると、一瞬動きが止まってしまう。
同じ中高出身の友達と、コレはしばらく慣れないね、とひっそり笑った。

優等生でもなければ問題児でもなかった私は、とにかくスカート丈に気を使っていた。
ダサいと言われないように。でも、校門で待ちかまえている先生には捕まらないように。
長いとも短いとも言われない丈に、毎朝鏡と向き合って調節した。


良い子にも悪い子にもなりきれず中途半端な丈のスカート


魚喃キリコさん、ともさかりえさん、東直子さんと、偶然にも選者に女性が3人揃った、「土曜の夜はケータイ短歌」の放送で、3人全員に選んでいただいた歌だ。
高校2年生も終わりに近づく、2月のことだった。

普通であることが不満だったり、悩みであったりしたわけでは決してない。
けれどもやっぱり、周りにあわせて笑い、先生とも友達ともそれなりにうまくやっていこうとする自分が、ひどく中途半端であいまいに思えてしまうことがあった。

この歌を番組で読み上げていただいたときに、嬉しいよりも安堵したことを覚えている。
見つけ出してもらえた、と思ったのだ。

3人の女性達が、「よくわかる」と言ってくれたことからもわかるように、私のような女の子は世の中にたくさんいるはずだ。
良い子でも悪い子でもない、ただの、普通の女の子。
けれども、そんな普通の女の子を見くびってもらっては困る。
普通の女の子は普通の女の子なりに、それぞれ一生懸命に悩んだり、恋をしたり、夢を見たりしているのだ。

普通であることが誰かの心を動かしたり、中途半端であることが輝いていることだってきっとある。
そのことを私に気づかせてくれたのは、短歌だ。


次は、ましろさんです。
よろしくお願いします☆


「第一回 短歌サミット」 
●日時:2009年6月20日(土) 
●開館時間:AM10:00〜PM6:00 
●場所:「川口市立アートギャラリー・アトリア」 
↓ 
http://www.atlia.jp/about/index.html
| ゆず | ,リレーエッセイ・特別な一首 | 23:40 | comments(0) | trackbacks(0) | -
リレーエッセイ・特別な一首(さかいたつろう)
ご挨拶・「だからパーティーひらくことにしたの」 by辻井竜一

※やな。さんから、たつろうさんに回ったリレーエッセイ・特別な一首。原稿が届きましたので、寄稿としてアップさせて頂きます!(文月育葉)

寄稿
街灯に照らされたから

最近はめっきり大人しくなったけど20代の前半まで
毎日誰かに恋をしていたような気がする。
自分の恋愛遍歴があやふやになってきているのだが、
世の男性達も僕と同じくあやふやなのだろうか。
さすがに付き合った人数くらいはかろうじて覚えているのだが。

昔からそうだったかというと、そうでもない。
初恋なんて6年間くらい一人の女の子に夢中だった。
でも、それが終ってからは反動のように女の子に恋をしていた。

忘れもしない小学校6年生の時の話だ。
当時、クラスにモデルのようにすらっとした女の子がいた。
学年どころか学校内でも1、2を争うスタイルの良さだったと思う。
そのわりには男勝りなさっぱりとした性格で席も隣同士だったから
話す機会も多く、単純にクラスメイトとしていい女の子だなという
印象だった。実はこっそり文通なんかもしていた。
(当時はまだ携帯なんてなかったんだよ。)

でも、僕はその子よりも当時通っていた塾が一緒だった女の子に
夢中だった。その女の子は学校の子とは対照的に背も低いし、
細くもないし、地黒の女の子だった。
今思えばどう考えても学校の子だろう!と当時の僕の恋愛観に相当の
疑問を抱く。
(後でわかったのだが、その学校の子は僕のことを好きだったらしい。)

でも、その塾の子は僕の事なんて眼中になかったし、頭も良かったから
僕よりずっと上のクラスにいた。
だから、その塾の子と会えるのは帰りの電車の中だけだった。
塾から駅までの道は片思いの男子の気持ちなんて全く読めないKYな女子友達が犬のウンコのように着いているので、話しかけることなんてできなかった。
だから、彼女に近づくためには勉強して彼女と同じクラスに上がるしかなかったのだ。
なぜか、彼女にふさわしい男になるためには、待っているより這い上がることが男の恋愛だと思いこんでいたことも理由の一つだ。若かったね。

そのために夜は必死で勉強をした。
学校から帰って勉強して塾に行って塾から帰ったらまた勉強するという繰り返し。
遊んでいる暇なんてなかった。
ゲームよりも漫画よりも友達よりも大切な理由が僕にはあったのだ。

昼は学校でモデル女子とばっかり遊んで、夜はその塾の子のために時間を割いた。

結局、彼女と同じクラスにはなれなかったし、彼女に想いを告げることはできなかった。

でも、一日中恋をしていた。
生きているって実感していた。
他の男子からはつまんない男だっただろうけど必死で生きていたあの頃。
そんなあの頃を短歌にしたものが、
初めて歌人の穂村 弘さんの目に留まった。

■ 街灯に照らされた君にあいたくてゲームを放りなげて行く塾

31文字を越えて広がる物語を感じる。
というような評を頂いた事が素直に嬉しかった。
それは、短歌が誉められたから、というよりもあの頃の必死で生きていた秘密の恋が大人になってようやく表に出せたことが嬉しかったのだ。

もう、あんな必死の恋なんてできないし、幼いなりの駆け引きだったけれど、今でもザ・ベスト恋愛として僕の中に鮮やかに残っているのです。

次はゆずちゃん。お願いします。

「第一回 短歌サミット」

●日時:2009年6月20日(土)

●開館時間:AM10:00〜PM6:00

●場所:「川口市立アートギャラリー・アトリア」

http://www.atlia.jp/about/index.html
| 短歌サミット実行委員 | ,リレーエッセイ・特別な一首 | 14:35 | comments(0) | trackbacks(0) | -
リレーエッセイ・特別な一首第五回(こゆり)
前回のはれやさんからご指名をいただきました、こゆりです。



くちびるに甘く酔う毒ぬっておくゆかたの夜のくちづけのため


これは公の場に初めて投稿した短歌。『眠れない夜にはケータイ短歌』関連書籍の『フルエル心ノケータイ短歌』に掲載された。
どなたが選んで下さったのかわからないけど、加藤千恵さんとふかわりょうさんに評論していただき、ふかわさんにはこの“女の子のスタンス”まで誉められるという大変有り難いことになってしまった。

投稿したのは19歳の夏だったけど、実はこの短歌を創ったのは高校一年生のとき。
当時だってくちびるを合わせたいと思う相手くらいいた気がするが(多分)女友達の中では「色恋方面に疎い子」の地位を確立させていたあたしは、ただ大人の恋愛への憧れを想像の中だけで膨らませて31文字にしていた。
フィクションだからこそこんなこっぱずかしいことを平気で詠めていたとも言える。

そしてゆかたの夜をどの男の子とも共有しないまま高校を卒業したあたしは、丁度この短歌が日の目をみたころある人に“大恋愛感情”を抱くようになっていた。
思春期に免疫をつけておかなかったせいかかなりの重症で、俗にいう幸せなお付き合いへは程遠いのに、うまくいかないことがまたあたしを一途にさせた。
そのころは、死ぬとか死なないとか、脱ぐとか脱がないとか、そんな短歌をやたら書き溜めていた。
どれも公表していないけど、大切な時間だったと今は思う。

そして彼への想いにも開き直れてきたころ、短歌のスタイルにも変化があらわれた。

いつかあの人を懲らしめるような短歌を詠んでやろうと、もう決めたんだ。

大好きだった、いやこれからも忘れることなどないあの人が、ただひとり「参りました」と言うような歌を創ることができたら、あたしは短歌をやめたっていい。
・・・・・今はね。


現在、“ゆかたの夜”をテーマに短歌を詠んだらこうなった。


手をつなぐかわりに握るりんご飴ゆかたの宵ごととろりと溶けて


あの日くちびるにぬった甘い毒は、時間をかけてゆっくりととけだしていると、信じたい。



さて。次回のリレーエッセイはやな。さんです!お楽しみに。



第一回 短歌サミット

○日時:2009年6月20日(土)

○開館時間:AM10:00〜PM6:00

○場所:「川口市立アートギャラリー・アトリア」

http://www.atlia.jp/about/index.html
| こゆり | ,リレーエッセイ・特別な一首 | 14:52 | comments(2) | trackbacks(0) | -
リレーエッセイ・特別な一首(はれやわたる)
ご挨拶・「だからパーティーひらくことにしたの」 by辻井竜一

先日、NHKで放送されている、「課外授業ようこそ先輩」という番組を観た。
この日の先生は、郷ひろみさんで、僕はしっかり録画までした。
ちなみに、過去に僕はこの番組を3回しか観たことがない。
はじめて観たのはルー大柴さんの回で、次に観たのは長渕剛さんの回、そしてこの日の郷ひろみさんの回へといたる。
この番組の根強いファンの方もいると思うのだが、「課外授業ようこそ先輩」を観ようか観まいかの最大のチェックポイントは、その回の先生を誰がつとめるかである。
最近僕は、もし僕が「課外授業ようこそ先輩」に出演することになったら、どんな授業をしようかと真剣に考えている。
僕が、過去に3回観た「課外授業ようこそ先輩」は、どの回も3日間かけて授業が行われていた。
下記は、僕が「課外授業ようこそ先輩」に出演することになった場合に想定している授業のプログラムである。

1日目 計算練習

例 5+7+5+7+7=
3+2+4+3+5+1+2+4+2+5=

たとえ小学校1年生だろうが、中学校3年生だろうが、こういう計算練習をひたすらやってみたいと思っている。

2日目 計算練習

例 □+□+□+□+□=31
あ◆棧◆棧◆棧◆棧◆棧◆棧◆棧◆棧◆棧◆31

某学習塾のCMでみかけた勉強方法であるが、なかなかいいスタイルだと思ったので、はれやわたるの「課外授業ようこそ先輩」では、取り入れたいと思っている。
もしかしたらで、最初の4つの□に1をいれて、残りの□に27を入れるという作戦をとる子供がいるかもしれないが、そういう子供は、呼び出して説教しようと思っている。
(で最初の4つの□に0をいれて、残りの□に31を入れた子供も、説教である)
い眛瑛佑法0や1を多用して、つじつまをあわせにかかった場合は、呼び出しをする。

3日目 短歌をつくる

という流れになりそうである。

すっかり忘れそうになっていたが、最後に「特別な一首」を紹介して、今回のエッセイを締めくくりたいと思う。

<テーマ・冬>

雪玉を空に向かって投げた僕のろしみたいと真似をする君

(昨年の冬に放送された、「今夜はテレビでケータイ短歌」の対決コーナーで、僕が決勝に進んでいたら、発表する予定だった短歌です)

次回のエッセイはこゆりさんです。
| はれやわたる | ,リレーエッセイ・特別な一首 | 12:51 | comments(0) | trackbacks(0) | -
リレーエッセイ・特別な一首(イマイ)
ご挨拶・「だからパーティーひらくことにしたの」 by辻井竜一

リレーエッセイ第三回目ということで、木下一(元くまさん)さんよりご指名をいただきましたイマイです。


「出ない」「出た」トイレの前でみつめあう幻想なんてもういらないの(イマイ)


2007年12月22日放送『土曜の夜はケータイ短歌』で穂村弘さんに選んでいただいた一首。
この週はクリスマス直前の2時間スペシャルで、共通テーマは<贈り物>。
そのなかでの「拝啓○○様」というテーマで、“ダンナへ”と詠んだものだ。

一番身近にいる夫。その夫に、つきあっている頃より結婚してからの今のほうが良いよ、ということを短歌にしたくて、それじゃあ、つきあっている頃と結婚した今との一番の違いって何だろうと考えると、日々の排泄の報告をしていることが思い浮かんだ。
トイレから出てきて「すっきりした」とか「なんか最近・・・」とか、他愛もないちっぽけなことだけれど、つきあっている頃はなかったこと。
それが結婚という日常なんだろうな・・・おお!これはいいかも!
採用されるとかされないとかより、この報告をしあう毎日を短歌にできたことがとても嬉しかった。
今の日常生活をそのまんまに、きれいに、形にできた気がした。

そして放送当日。
「拝啓○○様」ということで、ラジオから流れる短歌はどれも両親や恋人に対する感謝の気持ち。
あー、トイレのうたなんて場違いだったなぁ。そうだよな、トイレだもんなぁ。
投稿をするとやはり採用されたくなっていて、けれどすてきな短歌が次々と読み上げられビール片手に気持ちよくなっていると、なんとラジオから穂村弘さんが私の短歌を読んでいる声が聞こえてくるではないか。
「結婚をしてつきあっている頃とステージが変わったという、生々しくて大胆な歌ですね」
穂村さんに初めて採用されたことも相まって思わずバンザイ。
そしてビールは更にすすむすすむ。

後日、ケータイ短歌に投稿をされている方々とお会いする機会があり、このうたを覚えてもらえていたことを知り、嬉しかった。
それまでよりもこのうたが自分のなかで大きくなった。

自分の短歌に少しだけ自信がもてるようになった、大切な一首。


さて次は、先月行われた短歌サミットpodcastの収録で、影の活躍をしたはれやわたるさんにお願いしたいと思います。
それでは、はれやさんどーぞ!


第一回 短歌サミット」

●日時:2009年6月20日(土)

●開館時間:AM10:00〜PM6:00

●場所:「川口市立アートギャラリー・アトリア」

http://www.atlia.jp/about/index.html






| イマイ | ,リレーエッセイ・特別な一首 | 13:28 | comments(4) | trackbacks(0) | -
リレーエッセイ第二回木下一(元くまさん)
リレーエッセイ第二回という事で文月さんの指名でボキが書くことになりました。皆さんよろしくお願いします。
さて特別な一首というタイトルですが、あるようで無いようで無いようであるようで無いです。
別に『特別な一首?…(微笑)僕にとっては僕の作品は可愛い子供だからね…皆特別さ……』とかじゃなく、何でしょうね…何か恥ずかしいんですよ、自分の作品を語るのは。 強いて挙げるなら
○魚喃と俺は抱いたよ魚喃とだいたを強く羨ましいべ?

です。
『土曜の夜はケータイ短歌』ってラジオ番組が昔ありまして、MCはふかわりょうさんと魚喃キリコさんでした、今は番組名変わってMCも変わってだいたひかるさんになりました。
ボキはこの前スタジオ出演した時に魚喃さんとだいたさんへの愛を込めたこの歌をぜひとも詠みたいなあと思ったんですが、『大人の事情』で不可能になってしまいました…
悲しかったです。紅白のDJオズマみたいに強行突破する勇気もありませんでした。 しかし代わりに詠んだ歌をだいたさんは誉めてくれたので結果オーライです。
それにしてもだいたさんは本当に可愛かったです。優しくて面白いし……
と最近だいたさんに夢中のボキのエッセイでした。読んでくれてありがとうございます!
次はだいたさんに負けず劣らず可愛いイマイさんお願いします!
| くまさん | ,リレーエッセイ・特別な一首 | 02:16 | comments(0) | trackbacks(0) | -
リレーエッセイ・特別な一首(文月育葉)
ご挨拶・「だからパーティーひらくことにしたの」 by辻井竜一

こんばんは。
短歌サミット実行委員のメンバーでリレーエッセイを書いていくことにしました。
テーマは“特別な一首”です。
メンバーそれぞれが自分の詠んだ歌の中から、特別な思い入れのある一首を紹介します。
第一回目は僭越ながら私、文月育葉の特別な一首です。

ポケットを叩かなくても増えていくビスケットより甘い思い出(文月育葉)

2008年2月9日放送の『土曜の夜はケータイ短歌』でゲストの東野翠れんさんに紹介して頂けた歌です。

何となく、甘い相聞歌を詠んでみたかった時でした。
小沢健二やカジヒデキが好きだったので、彼らの曲のようにちょっと浮かれ心地でドキドキする想いを短歌にしてみたかったのです。

そんな時、何故かふいに童謡の『ふしぎなポケット』の歌詞が思い浮かびました。
♪ポケットの中にはビスケットがひとつ ポケットを叩くとビスケットはふたつ♪
ビスケットみたいに甘い相聞歌が増えればいいのに…なんて考えていました。

そういえば、恋の始まりっていろんな甘い出来事が起こるものです。
ビスケットがどんどん増えていくように。
ポケットなんか叩かなくたって毎日毎日がドキドキすることで彩られていきます。
そうだ、これだ!と思って、私は早速パソコンに向かって歌を入力しました。

しかし、送信ボタンを押そうとしてハッとしました。
この歌を読んで『ふしぎなポケット』を連想してくれるだろうか…
何か意味不明な歌だと思われたりしないだろうか…
ひとしきり悩んで、結局はえーい、どうにでもなれ!と送信しました。

そして放送日。
念願叶って東野翠れんさんに紹介して頂いたのですが、東野さんも司会のふかわりょうさんも『ふしぎなポケット』の歌だとは気づいてもらえず…
「ビスケットより甘い思い出ってどういう意味だろうね?」というスタジオの雰囲気。

あぁぁ、失敗だったのか…とちょっとがっかりしかけた時でした。
「これは童謡の本歌どりですね。」と歌人の穂村弘さんがぽつりと言ってくれたのです。
そう!そうなの!(私の心の声)
「この甘い思い出は何もしなくても増えていくっていう歌ですね。」
はい!その通りです!

「よかった〜ちゃんと伝わった〜」とラジオを流しているコンポの前で小さくガッツポーズをとりました。

憧れだった穂村弘さんに自分の歌を解釈してもらえた事とその解釈がドンピシャだった事が嬉しくて嬉しくて、毎日ケータイ短歌のサイトにある前回の放送を聞き返してしまうほどでした。

私はどちらかというと、恋愛の歌は後ろ向きなものになってしまうのでそういう意味でもこの歌は特別なのです。
この歌を超えるようなもっと甘い相聞歌を詠むのが今の目標でもあります。

さて、次回の“特別な一首”は最近大活躍のくまさんにお願いしましょう!
くまさん、よろしくお願いします♪

「第一回 短歌サミット」

●日時:2009年6月20日(土)

●開館時間:AM10:00〜PM6:00

●場所:「川口市立アートギャラリー・アトリア」

http://www.atlia.jp/about/index.html
| 短歌サミット実行委員 | ,リレーエッセイ・特別な一首 | 22:51 | comments(0) | trackbacks(0) | -
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